独断と偏見に基づく良いソフトウェア工学管理者になるための推薦図書
何につけてもワインバーグ。時々デマルコ。
もちろん、古い本だから、そのままってわけにはいかんけど、どんな本もそのままじゃダメ。チームや組織を作る参考になる。
amazonのレビューもいいこと書いているので、オススメ。
- 作者: G.M.ワインバーグ,大野徇郎,ジェラルド・M・ワインバーグ
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 1996/04/25
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
ワインバーグのシステム行動法 ソフトウェア文化を創る (3)
- 作者: G.M.ワインバーグ,大野[とし]郎
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 1996/06/05
- メディア: 単行本
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
- 作者: トム・デマルコ,ティモシー・リスター,伊豆原弓
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2003/12/23
- メディア: 単行本
- 購入: 7人 クリック: 110回
- この商品を含むブログ (150件) を見る
アドレナリンジャンキー プロジェクトの現在と未来を映す86パターン
- 作者: トム・デマルコ,ピーター・フルシュカ,ティム・リスター,スティーブ・マクメナミン,ジェームズ・ロバートソン,スザンヌ・ロバートソン,伊豆原弓
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2009/10/22
- メディア: 単行本
- 購入: 10人 クリック: 156回
- この商品を含むブログ (46件) を見る
無知にアクセスすること
プロセスコンサルテーション
エドガー・シャインの名著『プロセス・コンサルテーション』では、コンサルタントなどの援助者と被援助者(クライアント)との関係を築くことの重要性とそのための理論と手法が述べられている。
- 作者: E.H.シャイン,エドガー・H・シャイン,稲葉元吉,尾川丈一
- 出版社/メーカー: 白桃書房
- 発売日: 2012/11/02
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 55回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
誰かを援助する、ということは、どのような援助を行うか、という内容(コンテンツ)と同様、もしくはそれ以上にどのように援助を行うか、というプロセスが重要であることを強調する。
このプロセスに対する診断と介入を行い、クライアントとの関係を援助関係が効果的になるように調整する行為をプロセスコンサルテーションと呼んでいる。
ちなみに、同じく効果的な援助関係を築くというテーマでの名著に下記の本がある。
- 作者: G.M.ワインバーグ,木村泉,ジェラルド・M・ワインバーグ
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 1990/12
- メディア: 単行本
- 購入: 21人 クリック: 197回
- この商品を含むブログ (93件) を見る
プロセスコンサルテーションの原則
プロセスコンサルテーションには、次のような10の原則があるとシャインは言っている。
- 常に援助的であること
- 常に現状を認識しておくこと
- 無知にアクセスすること
- 自分のすることはすべて介入である
- 問題も解決策も握っているのはクライアント自身である
- 流れに身を任せる
- タイミングが重要である
- 対決的な介入で好機をうかがう
- すべてはデータの源泉である。;誤りは避けられないが、そこから学ぶことが大切である
- 疑問があるときには、問題を共有する
当たり前に思えるものもあるが、一つ一つが意義深いので、詳細はシャインの本に任せます。
本記事では、「3.無知にアクセスすること」について
無知にアクセス(接近)すること
シャインの洞察では、援助関係は、クライアントの協力なくして成り立たない。援助しようと誰かと関係を築こうとするとき、援助を有効にするための多くの事柄について、自分が知らない、ということを受け入れるところからスタートしなければならない。
下記は『プロセスコンサルテーション』本文の引用
「われわれの無知の領域を発見することは、われわれが持つあらゆる先入観をかいくぐって道を作り、われわれ自身の認識上のいくつかの弁解に打ち勝たなければならないという困難なプロセスになる可能性がある。」『プロセスコンサルテーション』エドガー・シャイン
個人的な感覚でいうと、この無知へアクセスすることを難しくしているのは、「被援助者の協力がなければ、自分自身は、援助関係において、「無力」であること」を受け入れることが難しいことにあると思う。
クライアントの協力なしに無力であることを受け入れるのは、クライアントに責任を転嫁して押し付けるような態度とも違う。
自分が有能であり、強力である、というポーズも取らず、かといって、卑屈になったり、防衛的になるのとも違う。
武道でいうところの「自然体」のような態度。これが無知にアクセスする上で必要なのだと思う。
創造性と批判的思考
下記に行ってきて、いろいろ考えた。
いろいろ考えさせられたので、自分の脳内を整理する。
あまり、整理できてないが、なんとなく、こんな感じだ。
創造的思考のプロセスモデル
創造性が評価されるまでの簡単なモデル。G.M.ワインバーグの設計の自然淘汰モデルと、デューイの問題解決学習が元ネタ。
システムづくりの人間学―計算機システムの分析と設計を再考する
- 作者: G.M.ワインバーク,木村泉
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 1986/07/01
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
(1) 解決したい問題の認識
(2) アイデアを絞り出し、複数のアイデアを結合して対象の問題に対する解決策を立案する
・アイデアの源泉は既存のアイデア、思いつき、イマジネーション、他の別分野のアイデアからの類推など様々
(3) シミュレーション等による解決策のテストとフィルタリング
・脳内シミュレーション、模型や図面、ラフスケッチによるフィルタリング
・天才肌の人は脳内シミュレーション力がすごい。多分
この本では、宮崎駿の脳内シミュレーション力に触れている
コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書 458)
- 作者: 川上量生
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2015/04/10
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (11件) を見る
(4) 選別されたアイデアの具現化
(5) 具現化したものの最終的なテストとフィルタリング
・製品等は市場でのテスト
・論文は科学者コミュニティでの評価や後の研究への貢献によるテスト
(6) テストに合格したものが創造的とされる。
(5)でテストに合格しなかった製品や論文は創造的でないものとして、世の中に認知される。創造的な思考には
1. (1)、(2)でできるだけ(5)のテストに合格できる可能性の高いアイデアをたくさん生み出すことと
2. (3)で製品を実際に作ってしまう前に適切に不合格にして無駄な努力をしない
の二つが大事と思う。
(3)で(5)のテストを先取りできる人が多分、創造的とされている人たち。脳内テストに合格するアイデアを求めて、アイデアを生み続け、捨て続けているんだと思う。
科学的知識などの体系的知識が創造的であることにとって必要な意味
過去に創造的と見なされたアイデアは
- 他人が気づきにくい問題の存在を示唆する
- (5)のテストに合格したアイデアであるため、解決策の材料として高品質
よって、(1)と(2)のプロセスの品質を向上させる。
批判的思考
オレオレ定義では、批判的思考はテスト志向の思考態度。要素は下記の2点
1.その思考が間違っている可能性を常に視野に入れること
2.その思考が間違っていないかどうか、を機会あるごとにテストすること
これができていると、(3)のプロセスがきちんと機能する。
テストの仕方
1.間違っていることを立証する
→反例をあげるとかね。ただ、そのためには議論や思考が反証可能になっている必要がある。カール・ポパーは全ての科学的議論は反証可能であるべし、とした(確か。。。)。ただ、確率でしか言えない社会科学などの複雑系の学問では徹底は難しい。だから
2.より良い説明を見つける
→同じ事象を別のより良い説明で合理的に説明できる場合、悪い説明は否定される。予測の精度が高い、シンプル、適用範囲が広い、など
つまり、自分の定義では、批判的思考とは、機会あるごとに、自分の考えと矛盾する事象、もしくは、より今の自分の考えより良い考えを探す態度。
多分、批判的思考によって、アイデアを否定し続けていると、筋の悪いアイデアを産む、という無駄な行動をとらなくなっていく気がする。
そのリスクがある気もするが。。。
創造性を生み出すには
創造性を生み出すには、間違っているかもしれない大量のアイデアを生み出し、できればそれを明確に否定する、っていう矛盾する体験を継続的に行うことなんだと思う。
だから、流行りの「否定しない空気」の中で生み出される アイデア会議とかってそれだけじゃダメで、合理的、論理的、非情にアイデアを否定するフェーズってのも必要なんだと思う。
こっちも参考。
変容へ向かう振り返りとメンタルモデルと感じ方
振り返りはとても有効。
”Good travels at a snail's pace.” Mahatma Gandhi
瞑想と気づき
あくまで自分の理解ね。
経験学習と問題ない症候群
人は常に経験を整理し、記憶し、活用しようとしている。
性格タイプ論の有用性と罠
自分が今まで学んできた性格タイプ論について書いてみる。もっと時間があれば短く書けただろう。。。
タイプ論とは
人間を様々なタイプに分けることは、色んな人が色んな根拠でやって来たと思う。
正式な理論に基づかなくても、オレオレ分類論は結構持っている人が多いのでは?
ここでは、心理学とか、人材開発の流れを組むタイプ論について話す。
ここでのタイプ論は人間はある観点に従って、複数のタイプに分類でき、それは生涯変わらない、ということを主張する類いのもの。
タイプ論と似たものに、あくまでも分類はそのときの社会的振る舞いの傾向についてのもので、変わる可能性がある、とするものもある。ソーシャルスタイルとか。
個人の印象だけどソーシャルスタイルはあまりにも変わりやすいため、それを分類することのメリットは殆どない。個別対応のほうがいい。
タイプ論の有用性
他者理解と他者受容
タイプ論を学ぶことで得られる分かりやすい有用性は他者理解。
通常、僕らは自分と他人は同じという仮定に基づいて行動し、共感したり、感情を推し量ったりする。これは、人間が自然にやる本能的行動。
タイプ論を通じて見えてくるのは、タイプが異なると、根本的に違う前提で世界を見ていることがあること。今までの赤とおもっていたものが、黒や紫に見えていた人がたくさんいるってこと。
例えば、MBTIで内向的とされているタイプは1人の時間を通じてエネルギーを蓄える。逆に外向的なタイプはみんなといることで元気になる。
落ち込んだ時とか、内向的なタイプに対して外向的なタイプが飲みに誘ったりするのは、余計なお世話だったりする。
こうした認識がないと、例えば誘いを断られた外向的なタイプは、断った内向的なタイプに関して、自分を好ましくおもっていないのではないか、とか、バカにされているのではないか、とか変人だ、とか色々状況を歪んで判断する可能性がある。
よくあるタイプの違いから来る誤解はかれは不道徳だ、とか、無能だ、とかそういう低い評価。
少なくとも自分が当然と思っていることを当然と思わない人が周囲にたくさん昔から存在していた、と気づくことは対人関係の状況認識に劇的な影響を与えると思う。
自己理解と自己受容
自己理解にも役立つ。特定の文化や組織は集団的規律を維持するために、ある程度特定のタイプの認識や傾向に有利な規律を強制する。あるタイプはある文化圏では変人として扱われる。
友達100人できるかな、とかね。
そういう状況では、集団に不利なタイプは自分の感じ方やものの捉え方に自信が持てなくなり、自分以外のタイプの特性を内在化するようになる場合がある。もしくは、社会を拒絶する。自己認識や社会の捉え方が歪む。
タイプ論は自分が他人と異なっているだけであったり、さらに同様な人は他にもたくさんいたりすることを教えてくれる。自分の感じ方やもののみかたをあるがままに受け入れることができるようになる。
上記二点は、タイプ論を学んだ極初期に得られる利点。さらに深く学ぶともっと各々のタイプ論特有の仕方で自己理解や他者理解が進むと思う。
タイプ論はよく誤解されているように人間や組織に対するもののみかたを単純化するものではない。
他人は今までの自分の自然な捉え方だけでは理解できない、と突きつけるもの。社会は無限に多様な個人から成り立っているものであることを教えるもの。人間や社会をより複雑にとらえなくてはならないことを教えるもの
タイプ論の罠
タイプ論の罠としては、人をタイプの枠組みで単純化して捉えることだと思う。ただ、個人的にはこれはタイプ論をよく理解していないし、別にタイプ論を学ばなくても人をステレオタイプで判断する人だろうからあまり、気にすることはないと思う。
タイプ論のエバンジェリストたちは、評判落とすから警戒するだろうけどね。
自分が学んで、良かったタイプ論
MBTI
ユングタイプ論をもとに、マイヤーズとブリックスが拡張、整理したもの。 万人におすすめ。グローバル、とくにアメリカでは主流だと思う。
生まれつきの利き手のようにタイプが決まる。
- どこからエネルギーを取り込むか(I 内向: E外向)
- どのように情報を知覚するか(N 直観: S感覚)
- どのように判断するか(F 感情: T 思考)
- 外界に対してどのように振る舞うか(P 知覚: J判断)
MBTIのタイプは仕事の仕方とか、対人関係のスタイルとかと影響が強い印象。仕事で有用だし、学生とか若手社会人にもいいと思う。
- 作者: ロジャーペアマン,サラアルブリットン,Roger R. Pearman,Sarah C. Albritton,園田由紀
- 出版社/メーカー: 金子書房
- 発売日: 2002/07
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 10回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
エニアグラム
神秘主義思想と心理学的タイプ論を融合したもの。9つの頂点をもつ図形に合わせた9つのタイプ。触れていない本もあるけど、9つのタイプには、両端のどちらかのタイプにより近いか、というウィングがある。全部で9×2の18タイプ。英語、日本語ともに表現は様々なものがある。
生まれつきと幼少時の体験からタイプが決まるとされる。
ちとオカルト的ではあるのだけど、自己成長のための非常に良質なツールになると思う。
誰も言っていないけど、個人的には学生とか20代とかよりも、30代以降の人におすすめ。自分はエニアグラムは学生のころ知って面白かったけど有用性を実感したのは最近。
多分、若いときには色々と受け入れられないんだよね。。。
Home - The Enneagram Institute
学ぶには、まず、リソの本を読むこと。
エニアグラム―あなたを知る9つのタイプ 基礎編 (海外シリーズ)
- 作者: ドン・リチャードリソ,ラスハドソン,みやもとあきこ,Don Richard Riso,Timothy McLean,Russ Hudson,高岡よし子,ティムマクリーン
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2001/10/19
- メディア: 単行本
- 購入: 9人 クリック: 42回
- この商品を含むブログ (26件) を見る
タイプの特定と学び方
自分がどのタイプであるか、を知ることは簡単ではないと思う。いろんな診断テストとかあるけど、最終的には自分で納得するしかない。
ワークショップとかで、人と話しながら、ああでもない、こうでもないと理解を深めながら、継続的に探究していけばいい。
もし、そういうタイプ探しが退屈だったり、意味のないことに思えたなら、それが今のあなたに不要なことであるか、タイプ論の深みに触れた議論ができていないか、のどちらかだろう。
ちなみにMBTIは認定にうるさくて、ちゃんと認定ユーザによるワークショップを経た形じゃないとダメ、って言っている。
自分は2人の認定ユーザのワークショップを合わせて3回受けたことあるけど、確かによく考えられて設計された良いワークショップだったと思う。
自分はMBTIではINFP、エニアグラムではタイプ4のウイング5でかなり確信している。ただ、時々別のタイプを疑ってみることもある。