無知にアクセスすること
プロセスコンサルテーション
エドガー・シャインの名著『プロセス・コンサルテーション』では、コンサルタントなどの援助者と被援助者(クライアント)との関係を築くことの重要性とそのための理論と手法が述べられている。
- 作者: E.H.シャイン,エドガー・H・シャイン,稲葉元吉,尾川丈一
- 出版社/メーカー: 白桃書房
- 発売日: 2012/11/02
- メディア: 単行本
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誰かを援助する、ということは、どのような援助を行うか、という内容(コンテンツ)と同様、もしくはそれ以上にどのように援助を行うか、というプロセスが重要であることを強調する。
このプロセスに対する診断と介入を行い、クライアントとの関係を援助関係が効果的になるように調整する行為をプロセスコンサルテーションと呼んでいる。
ちなみに、同じく効果的な援助関係を築くというテーマでの名著に下記の本がある。
- 作者: G.M.ワインバーグ,木村泉,ジェラルド・M・ワインバーグ
- 出版社/メーカー: 共立出版
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プロセスコンサルテーションの原則
プロセスコンサルテーションには、次のような10の原則があるとシャインは言っている。
- 常に援助的であること
- 常に現状を認識しておくこと
- 無知にアクセスすること
- 自分のすることはすべて介入である
- 問題も解決策も握っているのはクライアント自身である
- 流れに身を任せる
- タイミングが重要である
- 対決的な介入で好機をうかがう
- すべてはデータの源泉である。;誤りは避けられないが、そこから学ぶことが大切である
- 疑問があるときには、問題を共有する
当たり前に思えるものもあるが、一つ一つが意義深いので、詳細はシャインの本に任せます。
本記事では、「3.無知にアクセスすること」について
無知にアクセス(接近)すること
シャインの洞察では、援助関係は、クライアントの協力なくして成り立たない。援助しようと誰かと関係を築こうとするとき、援助を有効にするための多くの事柄について、自分が知らない、ということを受け入れるところからスタートしなければならない。
下記は『プロセスコンサルテーション』本文の引用
「われわれの無知の領域を発見することは、われわれが持つあらゆる先入観をかいくぐって道を作り、われわれ自身の認識上のいくつかの弁解に打ち勝たなければならないという困難なプロセスになる可能性がある。」『プロセスコンサルテーション』エドガー・シャイン
個人的な感覚でいうと、この無知へアクセスすることを難しくしているのは、「被援助者の協力がなければ、自分自身は、援助関係において、「無力」であること」を受け入れることが難しいことにあると思う。
クライアントの協力なしに無力であることを受け入れるのは、クライアントに責任を転嫁して押し付けるような態度とも違う。
自分が有能であり、強力である、というポーズも取らず、かといって、卑屈になったり、防衛的になるのとも違う。
武道でいうところの「自然体」のような態度。これが無知にアクセスする上で必要なのだと思う。