独断と偏見にもとづく政治について学ぶための推薦図書
眠れないので、ふと昔を思い出して記事を書くことにする
自分の背景
政治学修士。研究者の道は挫折。今はIT業界。王道の政治過程論、政治哲学、比較政治学その他のものは基本ナンセンスだと思って、地域研究を専攻してた。
政治的志向は、中道右派 / 平等 < 自由と公平 / 適切に管理された市場経済の信奉者/ 立憲主義万歳 / 社会権等は擁護
全く知識がない人へ
高校の教科書がおすすめ。なんだかんだ言って、日本の教科書はレベルが高い。検定教科書はアップデートもされていくのでそこも良い。
俺的おすすめ
かなり変わったおすすめだと思う。
ベースの本
- 作者:佐藤 幸治
- 出版社/メーカー: 成文堂
- 発売日: 2011/05/01
- メディア: 単行本
歴史
抽象的な政治学談義は無視して、実際に我々人間がどんな政治を行ってきたのかを知ることはとてもためになると思う。近代以降の歴史を知れば今を理解する助けになるし、古代の様々な歴史は時を超えて普遍的な原理を見出すのにいい。 個人的には
近代以降の世界史(ヨーロッパに世界が支配され、その支配がどのように瓦解して行ったのか。ヨーロッパにどうやって対峙して行ったのか、戦後の経済発展と民主主義の広がりと失敗)
幕末以降の日本史(西洋の衝撃をどのように受け入れ、近代化を成し遂げ、破滅の戦争に突き進んで行ったのか。)
あたりのテーマが今生きると思う。昔なら、ソヴィエトというものを理解しなければならなかったけど、今は、多分、開発独裁みたいな文脈で理解すればいいんじゃないかと思う。本はたくさんいいのがあると思うけど、個人的にマニアックな本をいくつか。
アメリカ人による日本研究者の戦後史。視点が新鮮。 ソヴィエトの対日スパイだったゾルゲの分析。戦前の日本の軍国主義化の根底にあった構造への鋭い洞察。ヨーロッパ史については最近すごくいいシリーズが出てたね。
力の追求(上):ヨーロッパ史1815-1914 (シリーズ近現代ヨーロッパ200年史 全4巻)
- 作者:リチャード・J・エヴァンズ
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2018/05/26
- メディア: 単行本
フランス革命
フランス革命とナチスドイツ/ファシズムというのは、政治学における非常に重要なトピックだけどここでいくつか。
政治的洞察の天才エドモンド・バークの古典。フランス革命の徹底的な批判書。保守主義の父と言われるけど、彼はアメリカの独立には賛成した改革論者。 頑迷な保守主義者ではない。彼の論理は、フランス革命をある種の模範としたロシア革命やその他の革命がなぜ、殺戮と独裁に帰結していったかを恐ろしいほど的確に洞察している。 岩波の訳書では「バークに学ばずに政治を行うのは、海図のない航海のようなもの」という言葉が出てた気がする。フランス革命についてはいろんな新しい歴史書があるけど、個人的にはトクヴィル先生の下記の本がお気に入り。歴史学的には多分、今では突っ込みどころ多いかも。
- 作者:アレクシス・ド トクヴィル
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1998/01/01
- メディア: 文庫
ハンナ・アレントの下記の本もどちらかというとフランス革命に批判的。
民主主義の可能性と限界
大衆心理についての警句
民主主義のダメさ加減は、古代ギリシャやローマの歴史を学ぶといい。そして、個人的にはおすすめなのが下記。
古典中の古典だけど、普通に政治学の本として読めると思っている。法学
民主主義にはいろんな欠陥があるわけだけど、現代でうまくいっている要因のかなりの部分が立憲主義と法の支配、人権概念みたいなもののおかげと思っている。その根底には法についてのアイデアがある。下記の本も好き
- 作者:P.G. ヴィノグラドフ
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1972/08/16
- メディア: 文庫
理系っぽいやつ
- 作者:ケネス・J. アロー
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2017/03/08
- メディア: 文庫
つきあい方の科学:バクテリアから国際関係まで (Minerva21世紀ライブラリー)
- 作者:R. アクセルロッド
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 1998/05/20
- メディア: 単行本
感情の役割。なぜ、これが絶版なんだ???