独断と偏見にもとづく政治について学ぶための推薦図書

眠れないので、ふと昔を思い出して記事を書くことにする

自分の背景

  • 政治学修士。研究者の道は挫折。今はIT業界。王道の政治過程論、政治哲学、比較政治学その他のものは基本ナンセンスだと思って、地域研究を専攻してた。

  • 政治的志向は、中道右派 / 平等 < 自由と公平 / 適切に管理された市場経済の信奉者/ 立憲主義万歳 / 社会権等は擁護

全く知識がない人へ

高校の教科書がおすすめ。なんだかんだ言って、日本の教科書はレベルが高い。検定教科書はアップデートもされていくのでそこも良い。

俺的おすすめ

かなり変わったおすすめだと思う。

ベースの本

日本国憲法論 (法学叢書 7)

日本国憲法論 (法学叢書 7)

  • 作者:佐藤 幸治
  • 出版社/メーカー: 成文堂
  • 発売日: 2011/05/01
  • メディア: 単行本
とりあえず、これを読んでおけば生きた政治のかなりの部分が学べるんじゃないかと思う。佐藤先生は政治理論とかも参照しながら統治制度なんかも解説している。抽象的な人権論とか、政治哲学なんかより、実際に生きた人間に影響を及ぼした判例って事例から学べることは多い。まあ、600ページ以上あるので、佐藤先生の他の本でもいいかも。でも網羅しているのはこれだから。

危機の二十年――理想と現実 (岩波文庫)

危機の二十年――理想と現実 (岩波文庫)

政治における力と理想や規範/法の問題についての切れ味鋭い論考。国際政治の古典だけど、リアリストとユートピアンのアイデアの対立はあらゆる政治現象で見られるものと思う。

政治学の天才。トクヴィルが19世紀のアメリカで現実に行われている民主主義を鋭く分析した名著。やばい。。。

歴史

抽象的な政治学談義は無視して、実際に我々人間がどんな政治を行ってきたのかを知ることはとてもためになると思う。近代以降の歴史を知れば今を理解する助けになるし、古代の様々な歴史は時を超えて普遍的な原理を見出すのにいい。 個人的には

  • 近現代ヨーロッパ史(どのように国民国家が生まれ、民主主義が広がって行ったのか、どのような差異が地域であったのか)

  • 近代以降の世界史(ヨーロッパに世界が支配され、その支配がどのように瓦解して行ったのか。ヨーロッパにどうやって対峙して行ったのか、戦後の経済発展と民主主義の広がりと失敗)

  • 幕末以降の日本史(西洋の衝撃をどのように受け入れ、近代化を成し遂げ、破滅の戦争に突き進んで行ったのか。)

あたりのテーマが今生きると思う。昔なら、ソヴィエトというものを理解しなければならなかったけど、今は、多分、開発独裁みたいな文脈で理解すればいいんじゃないかと思う。本はたくさんいいのがあると思うけど、個人的にマニアックな本をいくつか。

敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人

敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人

アメリカ人による日本研究者の戦後史。視点が新鮮。

ゾルゲの見た日本【新装版】

ゾルゲの見た日本【新装版】

ソヴィエトの対日スパイだったゾルゲの分析。戦前の日本の軍国主義化の根底にあった構造への鋭い洞察。

ヨーロッパ史については最近すごくいいシリーズが出てたね。

フランス革命

フランス革命ナチスドイツ/ファシズムというのは、政治学における非常に重要なトピックだけどここでいくつか。

[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき

[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき

政治的洞察の天才エドモンド・バークの古典。フランス革命の徹底的な批判書。保守主義の父と言われるけど、彼はアメリカの独立には賛成した改革論者。 頑迷な保守主義者ではない。彼の論理は、フランス革命をある種の模範としたロシア革命やその他の革命がなぜ、殺戮と独裁に帰結していったかを恐ろしいほど的確に洞察している。 岩波の訳書では「バークに学ばずに政治を行うのは、海図のない航海のようなもの」という言葉が出てた気がする。

フランス革命についてはいろんな新しい歴史書があるけど、個人的にはトクヴィル先生の下記の本がお気に入り。歴史学的には多分、今では突っ込みどころ多いかも。

旧体制と大革命 (ちくま学芸文庫)

旧体制と大革命 (ちくま学芸文庫)

ハンナ・アレントの下記の本もどちらかというとフランス革命に批判的。

革命について (ちくま学芸文庫)

革命について (ちくま学芸文庫)

民主主義の可能性と限界

大衆心理についての警句

世論〈上〉 (岩波文庫)

世論〈上〉 (岩波文庫)

民主主義のダメさ加減は、古代ギリシャやローマの歴史を学ぶといい。そして、個人的にはおすすめなのが下記。

政治学 (西洋古典叢書)

政治学 (西洋古典叢書)

古典中の古典だけど、普通に政治学の本として読めると思っている。

法学

民主主義にはいろんな欠陥があるわけだけど、現代でうまくいっている要因のかなりの部分が立憲主義と法の支配、人権概念みたいなもののおかげと思っている。その根底には法についてのアイデアがある。下記の本も好き

法における常識 (岩波文庫)

法における常識 (岩波文庫)

理系っぽいやつ

組織の限界 (ちくま学芸文庫)

組織の限界 (ちくま学芸文庫)

感情の役割。なぜ、これが絶版なんだ???

オデッセウスの鎖―適応プログラムとしての感情

オデッセウスの鎖―適応プログラムとしての感情