「リベラルアーツ教育によるグローバルリーダー育成フォーラム」に行ってきた。講演者の出口社長の5000年史の講義目当て。
歴史は大好きだし、リベラルアーツ系については大学時代に結構頑張ったと思っているので、親しみも込めて。
そこで下記の本の著者の海宝さんともお会いして、本送っていただきました。
- 作者: 海宝明
- 出版社/メーカー: 中央公論事業出版
- 発売日: 2010/01/09
- メディア: 単行本
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ありがとうございます。
早速読んでみましたが、素直に楽しめた。
バブル期の銀行の海外拠点(ベルギー)に駐在となった著者の回想。
本を出されるだけあって、本当に文章が巧みで、臨場感があり、その場にいるような感覚になれた。
旅行というだけでなく、実際にそこで仕事をし、現地社員と話しているよう。
バブル期の進出と現地ビジネスの停滞、日本との軋轢、バブル崩壊後の縮小など、当時の生々しい話が文化的な洞察とともに語られていて、銀行業務を全く知らない自分にとってはとても興味深かった。
あと、素直に海宝さんかっこ好いな、と思いました。
実は丁度同じ時期(1990年)から、自分は父についていってイギリスにいた。日本人学校に通っていたが、渡英後、何年かして、親が銀行員の家庭がどんどん帰国していき、生徒数が激減していたことを思い出す。
リベラルアーツ
大学生のころは、兎に角、古典を読みふけった。高校の時に、ルソーの『不平等起源論』やロックの『市民政府論』を読んで、結構面白かったこと。人間関係に悩んでいた時、古典小説が救いになったこと。怠惰だった高校までの自分に対して、いろいろ頑張ろう、と目標決めていたが、その一つが古典を読むってことだった。
リベラルアーツを学ぶ利点は、自分や社会の価値観をある程度相対化して見ることができるようになることだろうと思う。だから、会社に居ても、学校にいても、それには染まらず、一歩引いて、見ることが出来てたと思う。
ま、旅をしても、いろんな人にあってもある程度できることだけど、太古の哲学者や歴史家との対話はやはり格別なのだ。ヘロドトスの『歴史』は本当にドキドキしたし、マルクス・アウレリウスの『自省録』は学部生時代の座右の書だった。
- 作者: ヘロドトス,松平千秋
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1971/12/16
- メディア: 文庫
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- 作者: マルクスアウレーリウス,神谷美恵子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/02/16
- メディア: 文庫
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海宝さんも、あまり組織の空気に飲まれず、自分なりの価値観を持って、人と接することができていたのは、やっぱりリベラルアーツの土台があることも大きいのかな、とも思った。
学生時代の記憶に残っている新聞の記事がある。アメリカ企業が日本企業の攻勢で苦境に瀕している時、社内改革で活躍したのは、リベラルアーツを学んだゼネラリストたちだった、という内容だったと思う。
今思えばどういう根拠でそういえるのかは謎だが、自分としては違和感はない。
何を持ってリベラルアーツ教育というのかは、ちょっと難しい。少なくとも、大学の哲学、思想系の科目は自分にとってはゴミだった。自分には、先生方は思想を鑑賞用、知的遊戯の対象で、自分事として捉えていないように思えた。自分は古典に生きていくためのヒントを求めていた。