人の変化を支援するコミュニケーションとしてのクリーンランゲージ

最近ハマっているクリーンランゲージについて、現時点での考察をメモっとく。検証は不十分なので、間違っていることもあるかも。

 

クリーンランゲージ(Clean Language)とは

セラピストであるDavid Groveが使っていたコミュニケーション技法。

  • セラピストの思い込みや期待などが極力排除された「クリーンな(clean)」質問のみを使う
  • セラピーやコーチングのセッションでは、クライアントが実際に話した言葉、行ったジェスチャーをそのまま尊重し、活用する
  • 事実やクライアント本人ではなく、メタファーに着目して、コミュニケーションを続けていく。

クリーンランゲージの基本的な前提は、人はメタファーで世界を捉える、ということ。クライアントが持つメタファーの全体像を明らかにしていくことは、クライアントのものの見方を明らかにしていく、ということ。

 

参考

Less Is More: The Art of Clean Language

クリーン・ランゲージ

 

Clean Language: Revealing metaphors and opening minds

Clean Language: Revealing metaphors and opening minds

 

 

Metaphors in Mind: Transformation through Symbolic Modelling (English Edition)

Metaphors in Mind: Transformation through Symbolic Modelling (English Edition)

 

 クリーンな質問

クリーンな質問どんなものか、ということについて、創始者のDavid Grove自体は定式化できない、と述べていたそうだけど、David Groveの手法をモデリングし、体系化したペニー・トンプキンスとジェイムス・ローリィや彼らに学んだ人たちはクリーンな質問を色々と整理している。

上に紹介しているWendy Sullivan,Judy Reesの『Clean Language』では下記の12の質問がクリーンな質問としている。日本語訳はちゃんと考えたほうがいいので、参考程度に。

1.What kind of X(is that X)                Attribute   

   Xはどんな(種類の)Xですか?   属性/性質

2.is there anything else about X?       Attribute

   Xについて他に何かありますか?  属性/性質

3.Where is X? or whereabouts is X?   Location 

   Xはどこにありますか?          位置/場所

 Xはどのあたりにありますか ?

4.that’s X like What?                             Metaphor

 Xは何のようですか?         隠喩/比喩

5.is there a relationship between X and Y?  Relationship

 XとYの間に関係はありますか?       関係

6.when X, what happens to Y?                    Relationship

 Xの時、Yに何が起きますか?       関係

7.then what happens? or(and) what happens next?          Sequence

   それで、何が起きますか?              順序

 次に何が起きますか?

8.what happens just before X?                   Sequence

 Xの直前/すぐ前には何が起きますか?    順序

9.where could X come from?          Source

   Xはどこから来るのですか?         根源(Locationと言っている人もいる)

10.what would X like to have happen?   Intention

   Xは何が起きると良いですか?             意図 

11.what needs  to happen for X?        Necessary Conditions

 Xには何が起きる必要がありますか? 必要条件

12.can X happen?                              Necessary Conditions

 Xは起こりえますか?       必要条件

 クリーンランゲージを使ったセッション

クリーンランゲージを使った個人セッッションは「シンボリックモデリング」と呼ばれる。質問する方はファシリテータと呼ばれる。例えばこんな感じ。

C:最近、仕事のモチベーションが上がらなくて...

F:「仕事のモチベーションが上がらない」で、何が起これば良いですか?

C:仕事のモチベーションが上がればいい。

F:「仕事のモチベーションが上がればいい」で、その「モチベーション」はどんな種類の「モチベーション」ですか。

C:うーん。なんか、毎日朝起きて、やるぞーって思える感じ

F:「仕事のモチベーションが上がればよい」、で、その「モチベーション」は「毎日朝起きて、やるぞーって思える感じ」、で「やるぞーって思える感じ」のとき、「やるぞーって思える感じ」は何のようですか?

C:うーん。登山して、山の頂上で叫んでいる感じ。

F:その「山の頂上」はどんな種類の「山の頂上」ですか?

 こうして出てきた「山の頂上で叫んでいる」みたいなメタファーを掘り下げていくと、クライアントはかなり色々な気づきが得られる。(ここら辺は体験しないとわからないと思うが。)

 

これがクライアント中心のコーチング手法だと、例えばこんな感じになると思う。

C:最近、仕事のモチベーションが上がらなくて...

F:仕事に対して、真摯に取り組もうとする姿勢が素晴らしいですね。どんな仕事がしたいのですか?

C:もっと、世の中の為になっているって実感が得られるような仕事がしたいんです。

F:世の中の為になるなることがモチベーションになるなんて、Cさんらしいですね。もし、奇跡が起こって、世の中の為になっているって実感が得られるような仕事ができたら、Cさんには何が起きますか?

 まあ、コーチング手法には色々あるので、一概には言えないけど、クライアントを「認知」したり、クライアントが持っているリソースやゴールを探っていくってのは結構共通していると思う。コーチは人に興味を持つ。クリーンなファシリテータは、少なくとも質問はクライアント本人というよりもメタファー中心になる。

 

何で、クリーンランゲージが自分にとってこんなに衝撃的なのか、は記事を分けて書く。